工数の計算

仕事量の概念として工数というものがあり, これは仕事に関わった人数と時間の積で計算される. それについて考えていたとき, 人や円などの概念も単位とみなして計算すると, 物理の計算のように単位同士で約分できたりして, 意味がわかりやすいのではないかと思った. ここではそれについて書こうと思う. 

人数を  p [人] , 仕事を始めてから終えるまでにかかった時間を  \tau [時(間)] とするとき, 工数  W [人時] は, 

 W = p \tau

で定義される. 物理にならって, [ ] の中に単位を書いた. 

理論的には, 時刻  t における人数が  p(t) [人] であるとき, 時刻  \alpha から  \beta までの工数  W [人時] は, 

 \displaystyle{ W = \int_{\alpha}^{\beta} p(t) dt } 

で求めることができる. 

(例)2人で3時間かかる仕事の工数は, 
 2 [人] \cdot 3 [時] = 6 [人時]

(例)12人時の仕事を2時間で終わらせるために必要な人数は, 
 \displaystyle{ \frac{ 12 [ 人時 ] }{2 [ 時 ]} = 6 [ 人 ] }

話は変わるが, よくアルバイトで時給何円というのが張り出されていたりするが, これは単位工数あたり何円と考えるとわかりやすい. 時給1000円ならば1000 [ 円/人時 ] といった具合だ. 

(例)時給1000 [円/人時] の企業において, 3 [人] の従業員が6 [時間] 働くとき, 企業が支払うべき人件費は, 
 1000 [ 円 / 人時 ] \cdot 3 [ 人 ] \cdot 6 [ 時 ] = 18000 [ 円 ]
である.  単位同士が約分されるところは物理の計算に似ている. 

(例)あるコインパーキングでは, 1台の自動車を1時間とめると500円かかる. このコインパーキングに3台の自動車を4時間とめると, 
 500 [ 円/台時 ] \times 3 [ 台 ] \times 4 [ 時 ] = 6000 [ 円 ]
かかる. 

 

(例題)ある会社の時給は1000 [ 円/人時 ], 従業員数は3 [人] である. この会社は2 [ 時(間) ] で12000 [円] の売上を出した. また, 人件費以外の原価は0 [円] だった. 

  1. 工数はいくらか. 
     3 [人] \times 2 [ 時 ] = 6 [ 人時 ]

  2. 人件費はいくらかかったか. 
     1000 [ 円 / 人時 ] \times 6 [ 人時 ] = 6000 [ 円 ]

  3. この会社が1時間あたりに支払った人件費はいくらか. 
     \frac{ 6000 [ 円 ] }{ 2 [ 時間 ] } = 3000 [ 円 / 時 ] .

  4. 工数1人時あたりの売上はいくらか(労働生産性). 
      \frac{ 12000 [円] }{ 6 [ 人時 ] } = 2000 [ 円/人時 ]      .

  5. 会社が1時間あたりに得る利益はいくらか. 
     \frac{ 12000 [ 円 ] }{ 2 [ 時間 ]  } - 3000 [ 円 / 時 ] = 3000 [ 円/時 ]

  6. 売上に占める会社が得た利益の割合はいくらか. 
     \frac{ 12000 [ 円 ] - 6000 [ 円 ] }{12000 [ 円 ] } \times 100 \% = 50 \%